蔵のある村を歩く~福井・越前坂口

林業で栄えた往時を偲びながら

越前海岸河野から金華山と矢良巣岳の間の谷間を縫うように延びる県道206号線をうねうねと登って行くと、程なくヒノキの森に囲まれて小さな集落が見えて来る。

越前市湯谷と表記される坂口地区。この地区は明治から昭和の中ごろまで長く林業で栄華を誇った村だ。日本が高度経済成長期に入り都市部で住宅建設ラッシュが起こりそれは東南アジア産の合板や北米産の安価な木材が支えることとなり、国産木材はその価格競争に敗れて衰退していった。この地区の林業もその例外ではない。

日本の里山の暮らしが残されている坂口地区を歩く。往時の栄華を垣間見るような見事な蔵が道路沿いに連なっているのが見える。純白の漆喰が目に鮮やかだ。板張りのこげ茶の色味のコントラストがとても美しい。慶事に使う漆器類や嫁入り道具などが蔵で保管された。それだけ当時の暮らしは豪壮だったということが言えよう。

現在ではそれらの蔵は一部が住居として使われている。秋の日の光が降り注ぐ村のそこかしこに吹きわたる風がすがすがしい。

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