福井三国温泉「ゆあポート」

日本海が一望できる日帰り温泉

日本人は温泉が大好きだ。

水資源が潤沢であり、清潔好きな国民性から日々の入浴はあまねく国民の生活習慣に根付いている。

火山国である日本はその地中深くに活火山のマグマ脈が伸びている。

古来山岳信仰もあり、多くの僧侶が山に分け入り、その過程で数多の温泉を発見した。

だが最近の研究では活火山のマグマ脈がなくとも、温泉が湧き出る要因があることが分かってきている。

 地下に百メートル下がると3度温度が上昇する。

これを地下増温率と呼ぶ。近年掘削により湧出している温泉はこの地下増温率で熱せられた深層熱水をくみ上げているものだ。

さらに海岸沿いの温泉には化石海水という温泉も湧出することがある。

太古の地殻変動で海水が地中深くに閉じ込められそれが地熱で熱せられたものだ。

 

さて、福井の温泉地と言えば「あわら温泉」である。

ここは元々農地に不適な湿地であった。灌漑工事の最中に温泉が湧いたもので、これは地下増温率での温泉であろう。

さらに、港町三国にも天然温泉が湧出しているのである。

舐めると塩の味がする。

地下水に海水が混ざったのか、化石海水であるかは不明であるが、加熱不要な46℃の高温の塩化物泉である。

 おかげで三国町内の民宿はこの天然温泉を一層の魅力に加えて賑わっている。

それらの温泉に浴したい場合は宿に宿泊しなければならないが、日帰りで三国旅行をする旅人にお薦めしたいのが公衆浴場「ゆあポート」だ。

九頭竜川河口・サンセットビーチ前に開業したこの温泉施設。

海岸縁らしくナトリウム・カリウム塩化物泉の素晴らしい泉質だ。

塩化物泉は身体を温める効果がより大きい温泉である。

湯冷めもしにくい。

 海水浴の帰りに、あるいはエッセル堤での釣りで冷えた身体を温めるのに、また町民の交流と憩いの場としてこの温泉「ゆあポート」は大賑わいである。

 入浴料は大人¥500-、子供¥200-だ。

 広くゆったりした浴室からはサンセットビーチが臨める女性風呂と、九頭竜川河口が見える男性風呂とがある。これは定期的に入れ替えている。

常連客に双方の眺望を楽しんでもらうという意図である。

晴天の夕方には水平線に沈む夕日を眺められる。

 三国港に上がるとびきりの魚介類の御馳走。

町には歴史ある北前船貿易の豪商の建造物群。

それらが軒を連ねる街並みをそぞろ歩く楽しみ。

あなたが外国人なら、三国温泉につかりつつ、湯けむりの中で地方ならではの日本文化をしみじみと思うのも、粋な日本体験である。

 あなたが日本人なら、あまりに当たり前過ぎて麻痺して感じなくなってしまったこの温泉の暖かい心地よさを、もう一度肌で感じてほしいものである。

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